2/24からロシアの侵攻が始まったウクライナよりも、もっともっと長く、50年以上に渡り戦争状況下で暮らしているパレスチナ自治区の日常生活を垣間見せてくれる映画。
美容室というのは、恐らくどこの国でもそうなのだろうということを感じさせてくれる出だし。「女性のサロン・憩いの場」で本音の空間。(*ただし、最近では男性も美容室に来る日本では、美容室が以前のような女性の本音の空間にはならなくなっているが。)
美容室に集まっている女性客たちの性格は個性豊かだが、風貌はよく似ていて、日本人の私は誰が誰だったか、わからなくなる。(-_-;)
離婚調停中で脱毛にきた横柄な女性、戦争で負傷した夫に処方された薬物の中毒患者で夫からDVを受けている女性、ヒジャブを被った敬虔なムスリム、結婚式を今夜に控えた女性とその母親、臨月の妊婦とその付き添い、離婚経験のある女性など、皆、それぞれの事情を抱えていることが次第にわかってくる。美容室の店主はロシアからの移民で、ひとりだけ風貌が異なる。
女性たちは、日本以上に色とりどりの自由で華やかな服を着ている。が、一歩野外に出る時は、頭にショールをかぶり、長袖の上着を羽織らなければならないようだ。
やがて「女たちを(安全のために)家の中に閉じ込めておけ」と叫びながら、外では男たちの戦争ごっこ(抗争)が始まる。(-_-;)
銃声や爆撃が響き、美容室は停電する。補助電源を動かすガソリンも手に入らない。
停電で暑くなった店内で、メイクが流れるから煽いで~と言い、平静を装いながら仕事を続ける店主。
極限状態の中、女性客のつかみ合いのケンカが始まった時、「私たちが争ったら、外の男たちと同じじゃない」という叫び。
同感だ!
何故、男たちは戦争をするのだろうと、いつも思う。(-_-;)
天井の無い監獄と言われるガザで生まれた一卵性の双子が監督した作品。
美容室アシスタントの恋人として、ライオンを連れて、映画の中にも登場していたが、彼とライオンは抗争で死に、彼とライオンがトラックに乗せられ、死に顔が大写しになって映画は唐突に終わったが、これがパレスチナの日常なのだろう。