今週の日曜日のお昼に、昼食の準備をしながら、何気なく聴いたNHKラジオの子ども科学電話相談「昆虫」「鳥」「心と体」の回。
質問者の女の子の聡明さ・勇気とともに、大事な問題を子どもにもわかるように、子どもと一緒に考えるというスタンスで導いていく回答者の進め方が心に残り、もう一度、「らじる☆らじる」で聴き直してみた。
「小5には、難しいのでは?」と危ぶんだ回答者の言葉や表現も、聴き直すと、女の子の相づちの声の感じや応答で、女の子が回答者の説明を理解していることがよくわかった。
最後に、司会者が「(回答を聞いて)どんな風に思いましたか?」と尋ねた時の女の子の言葉、「たとえ、友達でなくても」には感銘を受けた。
この女の子は、改めて、本当に聡明で勇気がある子どもなんだな。。。と感心した。
私だったら、この説明の流れから、そういう結論を導き出せるだろうかと考えさせられた。
番組の最後で、別の回答者が「子どもにもわかることが、なぜ大人にわからないのかと、思わず考えてしまいました」と感想を漏らしていたが、私もそう感じた。
子どもたちのまっすぐな心にきちんと向き合うためには、私たち大人もまっすぐな心で現実に向き合わなければならないなぁと、背筋が伸びるような思いになった。
以下、全文の書き起こし。
======================================================
小学5年生の女の子(Kさん)の質問:「なぜ、人は大きなグループを作って、そのグループに入っていない人をいじめるんですか?」
回答者:恵泉女学園大学学長 大日向雅美先生
()内は質問者の相づち、応答
Kさん、こんにちは。Kさんの質問ってね、人間心理の本質に関わる問題でね、そこから生じるいろんな問題が出てくるんです。学校のお友だちの関係とか、大きくなってから職場の関係ね、更には政治だとか国際的な問題とか、人に関わる社会問題の闇を突くような鋭いご質問だなぁと思ったのね。(はい)
どうしてKさん、こういうことを思ったのかな。私も時々こういう場面を目撃したりするけれど、Kさんもこういうの目撃したり、或いは経験したりということもあるかしらね?(はい)
そうね、まあ、だから難しい問題だけど、一緒に考えてくれますか?(はい)
途中でわからないことがあったら、いつでも聞いてね。(はい)
あの、生き物ってね、集団で属しているものって多いわね。(はい)
動物とか鳥とか魚、(はい) 群れ成してるじゃない。(はい)
まぁ、総じて小さくて弱い動物が多いかな。(はい)
ねぇ、今日、上田先生とか清水先生<今日の回答者>がご専門だと思うんですけどね、人間も同じだと思うの。(はい)
一人で生きていくことが難しかったり、生活していく上で集団があるとグループがあると便利だっていうことで、群れを成すことがあるんだけどね、(はい)
さあ、ここからご一緒に考えましょうね。(はい)
例えば、私たちって、どういう風に集団を選ぶのかなって、いうことなんだけれど、Kさんがもしお友だちを選ぶ時、どういう基準で選ぶ?
(うーん、例えば自分の相談とか聞いてくれたり、話を聞いてくれる人)
そうねぇ、大事なことよねぇ。(はい)
聞いてくれる人って、Kさんの気持ちにこうわかってくれる人よね。(はい)
ということは、一番目、とっても大事なことをKさんが答えてくださったかなって思うの。
こう、私が困ったりなんかしたことがあった時に聞いてもらえる、そして大丈夫だよ、合ってるよ、あなた間違ってないよって言ってもらうこと、多いかな?(はい)
そうするとね、そういうお友だちって、きっとKさんに似てる人を選んでるってことないかしら?
(ああ。。。たぶん、そうかもしれない)
ね、考え方だとか、趣味、好きなアイドルとかね。 (はい)
後、行動パターンが同じような人を選ぶの。(はい)
そうすると、似ている人たちだから、何か相談しても否定しないでしょ、わかる!わかる!って言ってくれる。(はい)
で、あなたの考え、正しいよって言ってくれる。居心地がいいわね。(はい)
だから、グループを選ぶ時の一番目のポイントは、似た者を選ぶってことなの。(はい)
ここはわかってくださったかな? (はい)
そうすると、二つ目、大きいグループを選びがち、これはKさんのご質問にもありましたよねぇ。(はい)
なぜかっていうとね、入っているグループ、所属している集団が大きくなると、力持つのよ、人数が多くなるから。(ああ)
クラスでもそんなこと無い?(はい、あります)
あるよねぇ、そのグループが大きいといろんなこと決定できるわけ。(はい)
自分たちに都合の良いように決定できるの。(はい)
「数の論理」っていう言葉があるんだけど、派閥って聞いたこと、おありになりますか?
(ないです)
ない?例えば政治とか (はい) 会社などでね、派閥とか言って、グループが大きくなればなるほど、そのグループ力持ってくるの。(はい)
だから、どうしても大きい集団を選んだ方が得かな。。て、なっちゃうの。これKちゃんのご質問にあるわね。(はい)
自分が有利になる、守ってもらえる。と。
今まで二つお話ししたわね。(はい)
似た者同士が集まる、そして大きな集団になって数として力を持っていく。(はい)
ここから先なのよ、こっから先に、困ったことがでてきちゃうの。
いつもいつも一緒にいる人がいつも似た人たち...そうすると異なる意見とか違う価値観持ったり、違う行動する人が見えなくなっちゃうの。
(うぅーん)
自分たちが正しい、優れているという間違った優越感を持ってしまうことが有り勝ちなのね。(はい)
そうすると、どうすると思う?違った意見持ったり、少数の人たちに対して大きな集団の人、何するかな?
(なんか、悪口言ったり、そういうことする)
そうね、イジメよね。まっ、いじめの前にね、「同調圧力」をかけるってことも、これ心理学の言葉で難しいけれど、私たちと同じになんなさいよ、って圧迫するの、そういう場面、見たこと無い?
(ああ....たぶんあると)
どうしてあなたは私たちと違うの?どうしてそんなことするの?私たちの方に入ればいいのよ、と同調圧力をかけたり、それでこちらにきてくれないと今度、今、Kさんがおっしゃったように嫌がらせしたり、悪口言ったり、排斥、差別、いじめをするわけ。(はい)
だけどね、そういうことする人たちって、実は弱いの。
(えぇー?)
びっくりよねぇ。(はい)
それはね、今、自分たちが得ている権利だとかを守ることに必死になっちゃって、安心感を脅かされたくないと思ってるかもしれないのよ。
(はい)
或いは、こう少数の人がいじめられたりするのを見るの怖いじゃない?あっちの側に行きたくないと思って、本当はよくないと思ってても、なかなか数の大きいとこから逃げ出せなくなっちゃうのよね。
(うん)
そうすると、ここまでお話してきてどうかしら?おっきなグループにいて、なんか力を持ってる人って、強そうだけど、本当はどう思う?
(本当は弱い)
そう、弱いの。不安に慄いてるの。
だからねぇ、こういうことよく言うの、戦争とか犯罪とか残虐な行為ってね、本当は弱い人が間違った権力に従う服従から発生しちゃうんだって。
Noが言えない。で、自分で考えることをストップしちゃうわけ。だって皆周りがおんなじでしょ。で、力持ってると、自分がおかしいということ認識できなくなっちゃって、楽ちんしたくなっちゃうんだって。
(ふうーん)
こういうのって、改めたいよね。いじめられている人がいつまでもいじめになったり、少数のままにとどまるなんて、いやよね?
(はい)
何とかしたいよね。(はい)
どうしたらいいだろう?
これねぇ、あのう、こうしたことはいけないという動きはずいぶん前から、世界的に起きてるの。
例えば、マイノリティ運動、少数派運動というのがあってね。(はい)
アメリカで1960年代に起きたんだけど、黒人の人を差別したり、女性差別もあったのよ。(はい)
黒人差別いけないとか、女性差別やめようっていう、少数派の権利や人権守ろうという運動が60年代にわぁっと起きたの。
今は性的少数派LGBTの人たちの権利守ろうって運動も起きてるの。
難しいことよ。簡単にできることじゃないんだけど、数の論理だけで世の中が動くなんて、許せないじゃない?。(はい)
Kさんが正義感があるから、こういう質問してくださったり、もしかしたら辛い経験もなさったから、こういう質問してくださった、だったら、少数派の人も声を上げることのできる社会を作っていこう、そしてその声に耳を傾けなかったら、いつまでも数の論理と弱い人が集団圧力かけるようなそんな社会を保持しちゃいけないなあ。
でね、Kさんのご質問は人間の行動とか社会の問題の本質を突いて、闇を突くすごい大事な問題だって、最初にお話ししましたねぇ。
(うん)
どうでしょう、こういう、もしかして自分の周りで起きていることだけど、友達の間で起きていることだけど、目を開くと、社会や世界を変えられるような、そこまでつなげていけるような、そんな勇気も私たち一人一人が持つことが大事な質問をしてくださったなぁ。。。て、思ってお答えしたんだけど、わかっていただけたかしらねぇ・・・。
(はい)
司会者:どんなふうに思いましたか?
(えっとぉ、あの、誰かがいじめられているところとかを見たら、あの、たとえ友達でなくても助けようと思いました。)
司会者:あっ、すごい。そうですね。
回答者:それが本当の人間の知性だし、力だよね。
(はい)
司会者:みんながそうしてるから、多くの人がそういう行動をとってるから、ということだけではなく、本当にそれはそうすべきなのかな?とか、自分はどうしたらいいのかな?ということを、一生懸命考えてくださいね。
(はい)
司会者:はい、今日はどうもありがとうございました。
(ありがとうございました)
回答者:Kさん、どうもありがとうございました。