2019年6月9日にエル・おおさかで行われた医療講演会「全身性エリテマトーデスについて」(大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 森田貴義先生)の記録。
講演内容は、関西膠原病友の会関西ブロックの「明日への道 大阪版」の次号に掲載されるはずだが、私なりの新しい知見のメモとして、当日配布されたレジュメの中から記録。
1.免疫とは何かということは知っていたが、免疫を維持するために多く細胞が存在して大きく3種に分けられることやSLEに関わる免疫細胞のことは知らなかった。
・直接異物を攻撃・貪食する細胞→好中球、マクロファージ、キラーT細胞
・異物を認識、攻撃作戦を立てる細胞→樹状細胞、ヘルパーT細胞
・抗体(特定の異物に対してのみ作用)を産生し、抗体で異物を排除する細胞→B細胞
SLEではB細胞が活性化して制御不能になっていると考えられている。
ステロイドやクロロキンはB細胞やT細胞、マクロファージの働きを抑える。
2.「免疫寛容と破綻」も知らない言葉だった。
本来、体の中では、自分を攻撃する免疫細胞を排除、抑制している。これを「免疫寛容」という。この「免疫寛容」が破綻すると、自己に対して免疫反応が生じてしまう。これを「免疫寛容の破綻」という。なぜ免疫寛容が破綻するのか原因は不明。ある日突然何かをきっかけに自己免疫が生じると考えられる。
人の体を作っている細胞の死に方には3つのパターンがあるという。
1.遺伝子に支配された細胞死(プログラムされた細胞の死)
◎アポトーシス(自死) 再生系細胞→統制
◎アポビオーシス(寿死) 非再生系細胞→寿命
2.遺伝子に支配されない細胞死
◎ネクローシス(壊死) すべての細胞→事故
何らかの原因できれいな細胞の死に方をしなくて自己抗原DNAが細胞内に露出してしまったとき、遺伝的素因で免疫細胞が応答しやすい人で免疫寛容の破綻が起こり、自分を攻撃しない防御機構が崩れてしまうのではないかと考えられること。
遺伝子が全く同じである一卵性双生児の2人が、SLEを発症している割合は25~60%程度と言われているそうで、遺伝的要因だけで発症するわけではないが、病気を発症しやすい体質があると言える。
これは私自身の経験からもそういえると思っている。母方の祖母→私→娘も発症しかかったが、奇跡的に何とか食い止められた。