年賀状に使う絵はがきを準備していて、ふと箱の隅にクリムトのカードを見つけた。
カードを開いてみると、書きかけの文章が目に入った。
日付は1998年6月15日になっている。
礼拝でH姉妹の
ご主人のご病気を知って、お見舞いの手紙を書き始めたけれど、なぜか途中でペンを置き、結局、最後まで書かなかった手紙だった。
なぜ中途でやめたのか、今となっては思い出すことができない。
あれから20年、H姉は愚直なまでに祈りの人で、神と共に歩んで試練を潜り抜け、5人の子どもは皆洗礼を受け、4人が家庭を持ち、8人(だったかな?)の孫ちゃんたちも教会学校に通っている。
24年前に何もわからないままに見切り発車で洗礼を受けた私に、神様は折にかなった助け手を与えて、群れからさ迷い出ないように、はぐれないように助け手との交わりをとおして見守り導き続けてくださった。
そうした多くの助け手に支えられて今日まで来たが、いつのまにか、一人ひとりを看送る年齢になってしまった。
20年前のカードは、その過ぎ去った月日を教えてくれる。
そしていつしか私も助け手の一人に成長できたような気がする。
今もなお、私の行く手を照らす灯になってくださるH姉と、いつかエルサレムを訪れる日の来ることを楽しみに待っている。