2009年のモントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門の最優秀作品賞、
トニー・ガトリフ監督の『Korkoro』がYou Tube動画で観れる。
*ポスター画像は、https://en.wikipedia.org/wiki/Korkoro#/media/File:Korkoro_(DVD_Cover).jpgから借用。
(https://www.youtube.com/watch?v=wlTdGWDnl5U&t=258s)
音声はフランス語で、ロマ人同士の会話はロマ語になっていて、ロマ語の時だけ、フランス語の字幕が表示される。
だから、細かい展開はよくわからなかったが、言葉がわからなくても大筋は理解できる。
1943年のフランス、第2次世界大戦中のヴィシー政権(親ナチ)下のフランスにおけるロマ人の収容所送りが描かれていた。
ナチがフランスに侵攻してきたことは、この場面ですぐにわかった。
窓から外を見ると、見るからにゲルマン人という若者が水浴している。
フランスのようなラテン人とは明らかに異なる人種であることは、日本人の私にもすぐわかるから、監督はわざわざそういう典型的なドイツ人風貌の俳優をこの場面で起用していると感じた。
やがて、彼らの話し声が聞こえてくるが、ドイツ語だ。ナチがこの村にも侵攻してきたのだ。
この知らせをロマ人キャンプに伝えようと線路をひた走るロマの若者。
やがて、彼らはフランス内の収容所に入れられる。
が、彼らに友好的な村人の支援で収容所を出ることができる。支援を通して、反ナチのレジスタンス運動も描かれている。
しかし、彼らを排斥しようとする村人と衝突し、やがて執拗に彼らを追い回す官憲によって、また収容所に送られる、というのが大筋。
やがて、彼らはユダヤ人のホロコーストと同じように絶滅収容所に送られる運命にある。
収容所の有刺鉄線がギター?の音色に併せて振動して、まるで音楽を奏でているようなシーンから映画が始まるのがとても印象的。音楽がロマ人の生命であることを象徴しているようなシーン。
フランス人孤児が、自由と平等のロマ人の生活に惹かれていく過程を描くことで、自由と平等を標榜するフランスの現実を皮肉っているような気がした。
WEBで、日本語字幕のDVDを探したが、無いようだ。日本では公開されていない映画なのだろうか?