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安心してください。
今日見た限りでは、父さんは安らかに死期に向かっていると思います。
部屋に入ったら右手でお腹を軽く叩いていたので、えらいんかと聞いたら頷くので、ミトンを両方外して手を握り、お腹をさすってやりましたら楽そうでした。母さんがいつものように足や頭や顔をさすってやると気持ち良さそうな表情をしてました。
左手の指先と左足の踵にほんの僅かな浮腫が見られましたが、手足をさすっているうちに血色がよくなり温かくなってきました。
父さんが天井を見上げて何かを考えている様を見てたら、色んな想い出が浮かんできて泣きそうでした。
父さんが余りに平穏な表情なので、何かを達観したのかと思いました。姉ちゃんの教育の成果ですかね。
このまま少しずつ衰え、静かな最期を迎えてくれればいいなと思います。
私の予想では誕生日まで頑張ってくれるような気がします。
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※父は11月5日生まれで、この日で89歳になる。
弟とは、ほぼ毎週、メールで父の容態のやり取りをしているが、彼が「父が平穏な表情」とか「安らか」とか「楽しそう・・」という表現を使ったのは初めてなので、少し驚いている。
一体、父に何が起こったのだろうか?
弟は、父の死生観と私が死について父に話したこを知っているから、"姉ちゃんの教育の成果ですかね"と書いているけれど、私は、もしかしたら、父は「お迎え現象」を見たのではないかしら、と思う。
先週のNHK・クローズアップ現代で、この「お迎え現象」なるものについて初めて知った。
放送内容は、NHKオンラインの「これまでの放送」2012年8月29日(水)放送「天国からの“お迎え”~穏やかな看取り(みとり)とは~」から見れる。そこから、テキストの一部をコピペすると、
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クローズアップ現代 毎週 月-木曜 放送 総合 午後7時30分-午後7時56分
2012年8月29日(水)放送
「天国からの“お迎え” ~穏やかな看取り(みとり)とは~」
死の間際すでに亡くなった人が夢枕に立つお迎え。これまでは単なる幻覚だとして片づけられてきました。しかし今、終末期の医療現場で注目され始めています。
亡くなった両親が、やって来た。昔、かわいがっていたペットが現れた。
今年発表された初めての本格的な学術調査によるとお迎えを見た人の、実に9割が穏やかな最期を迎えていたというのです。
さまざまな延命治療を推し進めてきた医療現場は自然で穏やかな死への道筋を見落としてきたのではないか。
お迎え現象の調査を機に医師たちのみとりに対する意識も変わり始めています。
誰もが避けられない死。穏やかな最期をみとるには何が必要か。お迎え現象の調査から死との向き合い方を見つめ直します。
天国からの“お迎え”初の大規模調査
今年7月肺がんで、この世を去った母親のお迎え体験に立ち会った女性です。隣で寝ていた母親の鈴木靖子さんが突然話しかけてきたのは亡くなる5日前の夜でした。
鈴木章子さん
「『お友達がさっき来たでしょ』と言うの。『えっ、来たの』って言ったら『うん、さっき来たんだよ』って。そのお友達は7年前に病気でなくなっているんです。ちょっとこっちはギョッとしてるんだけど、あまりにも幸せそうに話をするの。」4年前にがんが見つかって以来まだ死にたくない、と言い続けていた靖子さん。それが、お迎えを見たあとは心が落ち着き、穏やかに旅立っていったといいます。
鈴木章子さん
「死に対する恐怖も当然あったんだけども、それが何か薄れていったんだよね。」
鈴木万里さん
「そういう風に(恐怖があるように)感じなかったね。」
鈴木章子さん
「死に対する恐怖は、まったく感じなかったね。」
鈴木万里さん
「私はもう、自分自身が死ぬときは、母のように亡くなりたいなって。」
仙台を中心に在宅医療に取り組む医師の河原正典さんです。
在宅医療を続ける中でお迎え現象は珍しいものではないという意外な事実に気がついたといいます。
沼田さんは去年11月肺炎を起こし、一時危険な状態に陥りました。そのとき、亡くなった両親が部屋の隅に現れたといいます。
沼田さん
「親と会ったんだなという感触だけなんだな。お互いに離れ離れみたいになって会うんだから、うれしいような気がするんだな。」
河原正典さん
「人によっては先生が来るまでいたのにって言われて怒られたこともありましたし。ちょこちょこ、ありますよ、そんな珍しくはないですね。」
あの世で懐かしい人に会える。そう思うことで、死への恐怖が和らぐのではないか。
河原さんは、これまで現代医療が注目してこなかった効果が、このお迎え現象にあるのではないかと考えるようになりました。
河原さんのグループでは去年、社会学者と共同で本格的な調査を行いました。
対象は宮城や福島の在宅緩和ケアを利用した患者の遺族、500人以上。すると、全体の4割でお迎え現象を体験したという回答が得られたのです。最も多いお迎えは両親や友人などすでに亡くなった人たち。猫や犬など飼っていたペットや動物が現れる場合もありました。そして、懐かしいふるさとの山々など思い出の風景を見ることも。こうしたお迎えを見た9割の人が穏やかな最期を迎えたことがうかがえるとしています。
お迎えという不思議な現象。
医学的に見ると一体何が起きているのか。
河原さんは、お迎えは穏やかな死のために準備された人間の生理現象なのではと考えています。「人が死んでいく中でのたぶん過程の一つなんだというふうに僕は捉えていて、食事がとれなくなる、飲めなくなるというときにやっぱり脳の活動がやっぱり弱くなるとか、もうろうとしてそういう幻覚を見せるんだろうと。このグループでは緩和ケアの現場で、お迎え現象を単なる幻覚と片づけず大切にしようと考えています。
ゲスト大井玄さん(東京大学名誉教授)
●患者さんの中にお迎えを体験をされた方はいたのか
おりますね。私の場合には、80歳代の女性でしたけれど、介護に当たっている娘さんが、このごろ母が、お母さんが来てるっていうことを言うもんですから、患者さんに尋ねましたらね「ええ、先生、そこに来てます」というふうに示してくれたんです。それは非常に印象的でした。非常に穏やかに亡くなっていきました、やっぱり。
●現象を体験した4割、どう受け止められるのか
不思議ではないと思うんですね。実は、私たちの国では8割が病院で死んでますが、病院はやっぱりそういう現象が起こりにくい所だと思います。安らいで、そして安心できるような所で、初めてよく起こるようなものだと思います。
●病院の場合は治療という雰囲気が強いからか
急性期病院というのは、言うならば、終末期の人にとっては、ある種の異界みたいな所です。自然な所というのは、自宅や、あるいはついの住みかというような老人ホーム、まあそういうような所だったら、安心できますから、そういう所で起こって4割っていうのは、おかしくはないと思いますけれども。
●なぜ終末に近づいた方々に起こるのか
それは恐らく、人間に備わった、自衛というか、心理的な自衛作用であって、親しい人とつながったという、そういう感覚があるときにはみんな、安心するわけなんですね。基本的には、われわれの脳というのは、記憶と経験に基づいて世界を再構成してますから、そういうような記憶、経験から、すっとそこで世界を見て、つながる、お迎えを経験する、これはおかしくはないと思います。
●苦痛を和らげる精神面でのお迎えというのは
そうですね、苦痛というのは、これは身体的な苦痛もありますし、精神的な苦痛がある、しかしながら、精神的な苦痛っていうのは、非常に、もしそれをなくすることができれば、効果的なんですね。私たちは子どものときに、お母さんに大丈夫だからって言われて、ひざ小僧をさすってくれたときに痛みがなくなったように、非常に自然なことだと思います。だから、そういう親しい人が来てくれたっていうのは、これは安心できますね、苦痛がなくなる。
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父に直接会ったわけではないし、父はほとんど話ができないから、父にお迎え現象が来たのか、どうかはわからないが、もし、それによって父が穏やかに安らいで死を迎えることができるなら、来てほしいと思う。