バタバタしていて、今、ようやく、ゆっくりと叡王戦、対深浦9段戦の藤井4段敗戦を振り返っている。
初対局からちょうど1年目の記念すべき2017年12月24日の15歳のこの敗戦は、彼の今後の、より一層の成長につながるものと確信している。
本戦は、序中盤は深浦9段に互角以上に渡り合っていただけに、秒読みに追われて悪手を指して終盤で逆転負けした自分に、身もだえするほど悔しく、情けなく、その感情を押さえることができない若さを、まざまざと観戦者の前にさらけ出した。
自玉の詰みを悟った場面から、身体が大きく揺れる。
頭を下げて「まけました」と告げる。
その後も感情を抑えきれずに、声を押し殺して泣いている?
私はリアルタイムで観ていた時は、不謹慎かもしれないけれど、彼のその若々しさに微笑んでしまった。悔しさを抑えきれないで、ストレートに表現してしまう彼をやっぱり中学生、かわいいなぁ・・・と。(((^^;)
でも、今日こうしてもう一度観直すと、涙しかない。
豊島8段戦のような完敗という負け方ではなく、優勢だったのに、自分の得意とする終盤で自分が悪手を指してしまっての逆転負けだったから、身も世もないほどの大ショックだったのだろう。
彼の気持ちに一番シンクロできるのは、彼の気性をご存じのご両親だと思うから、ご両親はこの場面をどんな気持ちでご覧になっていたのだろうかと思うと、また涙してしまう。
しかし、人間は順風満帆が続くと成長の度合いが鈍るもので、大きな壁に跳ね飛ばされ、逆風に足を取られてこそ、人はその後に大きく成長するものだ。
だから、彼はやっぱり神に特別に愛されているのではないかと思った。
他でもない、初対局からちょうど1年目の記念すべき日に、この試練をお与えになったのだから。