2017/04/26 :「カッシーニ探査機、最終ミッションに向けて、土星の接近観測開始」
土星の環くぐり
リングをかすめる軌道を離れる4月以降、本当に刺激的なステージが始まる。
探査チームは、カッシーニのミッションが終了する前に、今までどの探査機も入ったことがない場所に向かわせようと考えている。単に土星の環に近づくだけではなく、土星と環の間に入りこむのだ。
科学者たちが「グランドフィナーレ」と呼ぶこのミッションでは、22回にわたって土星と環の間の狭い空間を通過する予定となっている。
グレーが環をかすめる軌道で、青が環の間を通過する軌道。なかでもオレンジ色は最後に土星に突入する軌道。
この計画にはリスクが伴う。土星の環を構成する氷の粒子と衝突すれば、致命傷となるおそれがある。だが、この点はさほど心配されていない。最初に土星と環の間に突入する際に、カッシーニは長距離アンテナを盾にして機体を保護できるからだ。
それでも、「環の粒子が重要な部分にぶつかり、カッシーニの機能が停止してしまう可能性もあります」とスピルカー氏は言う。
計画が順調に進めば、この軌道から土星の磁場や高圧ガスでできた本体を今までにない精度で観測できる。それによって、この巨大な惑星がどのようにできたのかがわかり始めるかもしれない。
おそらくもっと楽しみなのは、カッシーニの調査によって、土星の環がいつからできたのかを解明する手がかりが得られることだろう。
環は土星が誕生した時からあったもの、あるいは若い衛星の残骸、土星に近づきすぎて重力により破壊された彗星など、目下のところ科学者たちの意見は分かれている。
そのミッションの最終段階では、土星の環の質量も計測できる予定だ。そこからもこの謎の答えを導く手がかりが得られるかもしれない。
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最終ミッションを終えた後、9月頃に、カッシーニは土星に突入し、土星の大気の中で燃え尽きたカッシーニの原子は、土星の一部となって永遠に存在し続けるのだという。
ロマンティックな最期ね。