死出の衣装。
母が入院中に母の里の兄嫁さんが死出の衣装一式を持って来られ、死んだ時はこれを着たら良い、と。
しかし、母は自分の一番好きな着物で旅立ちたいと、全部自分で選んで用意していた。だから、この着物は着たくないけれど、私が生きている間は兄嫁さんに悪いから、着ないとは言わないでほしい。私が死んだら、夜伽に来られた時、布団をまくって、あげた着物を着ているかどうか確かめはるから、その時に事情を話して、着なかったことを謝ってほしい、と母は私に頼んだ。
だから、私はその通りにした。夜伽で私が生前の母の言葉を伝えた時、おばさんは「それでかまへんよ」と言ってくれた。
その後、葬儀や法要でバタバタしている間に、弟と妹がどうもそれを処分してしまったようだ。
それを最近、おばさんが、使わなかったのやったら、返してほしいと言ってはるそうな(^-^;)
何でもあの着物はとても上等の品で、私の母方の祖母の形見分けの着物なのだと、今になって聞く。
おばさん自身はあれはおばさんには小さくて着れないし、持っていても着ることのない品だから死ぬ間際の母にくれたのだろうが、使わなかったのなら、また誰かにあげたいと思われたのだろうか、それとも形見分けの品だから、やっぱり手元に置いておきたいと思われたのだろうか、詳しいことはわからないし、また直接に私たちに返してほしいとは言われないが、遠巻きに母の姉に「返してほしい」と言っておられるそうな・・・。
この一件が明らかになって、誰がうっかり処分したか、また今後どうすべきかで、妹と弟の間でもめ出した。
妹が、「この着物を預かったときに居たのは姉ちゃんだから、姉ちゃんがこの件は最後まで責任を持つように」と言ってきた。
確かに、私がもう少し細かく気を配って、弟にいきさつを話しておいたら良かったのだと思ったから、母の姉にどうしたら良いのか電話で相談して、その内容を二人にメールで知らせて、最終的にどうするかは当主である弟が決めれば良い、当主である弟の決定に従うから、と連絡した。
弟からの返事で、一件落着かと思いきや、私が19日から31日まで海外旅行へ行くことに妹が「余計なことで叱られそうですが、昔風にいうと、一周忌までは喪中なので、遺族はおとなしくして旅行とかもしないようにするんですよ。」と言ってきた。
弟には「捨てるときに相談した相手は私ではない。たぶん奥さんだろう。私は中身を知っているから捨てるかどうかなんて、聞くわけがありませんよ。お酒やめると頭すっきりしますよ。またまた余計でした。」と言うような内容を言ったものだから、弟が気分を害した。
弟は奥さんが助けてくれない(彼女は、それぞれが自分の親と自分の実家の世話すれば良いのだから、自分は義父母と義父母の家に関しては世話をする必要はない、という考え)から、全部弟一人で実家をみざるを得ない状況になっている。
弟自身にも難しいところがあって、私は遠巻きに見守るだけだが、男手ひとつで本当によく実家の世話をしてくれていると感謝している。
妹は知識が豊富で、しきたりや慣習に詳しく、それを守って恥をかかないことを第一義とするタイプ。良かれと思って私たちに教えてくれるのだろうが、それぞれ価値観が異なるので、時々ストレスがたまる。
どうも私たちは仲の良い兄弟ではないようだ。(^-^;)
母があの世で悲しんでいることだろう。