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18章から20章にかけては、ダビデの戦勝記録が書かれている。
宿敵ペリシテ人を初めとして、モアブ人、エドム人など、ダビデは行く先々で勝利したが、それは「主が与えてくださった勝利」であると述べられている。
以前は、こういった記述を読むと、無力感を覚えたものだった。最終的には、この世のすべては絶対者である神の御心に従って動いているのだと、聖書全体で語られているからだ。
神の御心というなら、どうしてこの世には矛盾が多いのか、許されるのか。
なぜ、罪も無い多くの人たちや正しいことを行っている人々が虐げられ、悪人が栄えるような、神の御心からすれば、矛盾するようなことがこの世に満ち満ちているのかと悩んだことがある。
だから、聖書の中では「伝道の書」に一番共感を覚えた。
7:15 この空しい人生の日々に/わたしはすべてを見極めた。善人がその善のゆえに滅びることもあり/悪人がその悪のゆえに長らえることもある。
8:14 この地上には空しいことが起こる。善人でありながら/悪人の業の報いを受ける者があり/悪人でありながら/善人の業の報いを受ける者がある。これまた空しいと、わたしは言う。(伝道の書)
しかし、今は
8:16 わたしは知恵を深めてこの地上に起こることを見極めようと心を尽くし、昼も夜も眠らずに努め、
8:17 神のすべての業を観察した。まことに、太陽の下に起こるすべてのことを悟ることは、人間にはできない。人間がどんなに労苦し追求しても、悟ることはできず、賢者がそれを知ったと言おうとも、彼も悟ってはいない。
(伝道の書)
と思うことができる。
絶対者の御心を知ろうと思うことが愚かな間違いであったと気づかされた。
とうてい知ることはできないのだ。また知らなくていいのだ。神は問いかけることを求めておられない。問いかけても答えられない。
人は神を理解することができないのだから、自らを賢いものとうぬぼれず、ただただ、神を恐れ、従うのみ。
38:1 主は嵐の中からヨブに答えて仰せになった。
38:2 これは何者か。知識もないのに、言葉を重ねて/神の経綸を暗くするとは。
40:1 ヨブに答えて、主は仰せになった。
40:2 全能者と言い争う者よ、引き下がるのか。神を責めたてる者よ、答えるがよい。
42:1 ヨブは主に答えて言った。
42:2 あなたは全能であり/御旨の成就を妨げることはできないと悟りました。
42:3 「これは何者か。知識もないのに/神の経綸を隠そうとするとは。」そのとおりです。わたしには理解できず、わたしの知識を超えた/驚くべき御業をあげつらっておりました。
42:4 「聞け、わたしが話す。お前に尋ねる、わたしに答えてみよ。」
42:5 あなたのことを、耳にしてはおりました。しかし今、この目であなたを仰ぎ見ます。
42:6 それゆえ、わたしは塵と灰の上に伏し/自分を退け、悔い改めます。
(ヨブ記)