私は「闘病25年の心の軌跡 ―死に怯える心からの解放―」という題で、語りました。SLEの私の病歴ではなくて、揺れ動いた私の心の軌跡を"私の個人的な物語"として語りたいと思ったのでした。
当日配布したレジュメは、次のようなものでした。
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闘病25年の心の軌跡
―死に怯える心からの解放―
膠原病友の会 大阪支部 □□□□□(SLE)
1.私の病歴(SLE)
2.前回の「教壇に立っての感想」と「私の闘病記」から
3.「半うつ状態」になった原因
4.何をきっかけに再起したか
5.再起後の活力あふれる「生き急いだ日々」―懲りない猪突猛進―
6.私の死生観―死に対する恐怖―
6-1.パスカルの場合
6-2.私の場合
6-3.大町公氏の場合
6-4.岸本英夫氏の場合
6-5.人間の死生観の2つのタイプ
7. 私の「半うつ状態」の奥に潜んでいたもの
8. 賭け
8-1.パスカルの賭け
8-2.私の賭け
8-3.岸本英夫氏の賭け
9. 私のジクソーパズルの完成と心の平安
10. 最後に
読んだ本
・1987年頃 千葉敦子『「死への準備」日記』 朝日新聞社(1987)
・1994年頃 神谷美恵子 『生きがいについて』 みすず書房(1980)
・2006年 パスカル 『パンセ』前田陽一・由木康訳 中央公論新社(2001)
〃 大町公 『私の「死への準備教育」』 法律文化社(1997)
〃 岸本英夫 『死を見つめる心 ガンとたたかった十年』 講談社(1964)
・2008年 遠藤周作 『死について考える』 光文社(1996)
・2010年 キュプラー・ロス『死ぬ瞬間 死とその過程について』 中公文庫(2001)
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発表の順序と図表だけのレジュメを配布し、おまけに当日、時間が足らなくなり、8と9を飛ばして、いきなり10のまとめを早口でまくし立てたから、発表後に私は、"失敗した・・・私の思いは伝わらなかったかもしれない・・・"と、いたらない発表をしてしまったことを後悔する気持ちが湧いてきました。
招いてくださった先生の研究室に戻り、お茶を頂いている時に、同行してくださった友の会関西ブロックの重鎮とも言うべき元看護師さんが「私は□□さんとは違って、SLEの宣告を受けたとき、一旦死んだものとして、以後を生きてきた。」というような意味の感想をおっしゃった時に、「ああ、看護のプロであった元看護師さんですら私の真意を理解してくださることができないのだから、まして学生には意味のわからない話だったんだろうなあ・・・」と、こんなテーマで話をしたことを後悔したのでした。
実は、発表直前からこういうテーマを選んだことを後悔し始めていたのでした。同行の方に、聴いてくださる学生さんたちの学年を聞いたとき、「1回生です」と言われて、「しまった!」と思いました。私はすでにある程度、膠原病やSLEのことを学んだ学生さんに語るのだろうと思っていたからです。だから、聴く学生さんが膠原病やSLEについて、まだあまり学んでいないならば、病状と活動を中心としたテーマで語る、発表で言うなら、「再起後の活力溢れる日々」で終えるような語りにするつもりでした。いくら、「私の物語」だからといって、聴く人に理解出来ない可能性のあるような内容は語るべきではないと思っていたからです。だから、発表を待つ間、発表の主眼を変更すべきか、そのままでいくのか、混乱し、決まらないままに発表を始めてしまったのでした。
結果として、私の選んだテーマは、看護関係者用と教会用の2つのバージョンに分けるべきで、当日私は時間の制約もあって、無意識のうちに、看護関係者用のバージョンで語っていたのだということに後で気がつきました。
看護学生さんの感想文を読み始めた時、"この人たちは私の語った内容を理解してくれたのだ!"とわかって、うれしくてうれしくて涙が止まらなくなったのです。言葉足らずな私の真意を、本人以上に的確に表現し、共感してくださった学生さんもいます。"若いみずみずしい感性はスゴイ!"と感涙にむせんでいた時、電話がかかってきました。先日、同行してくださった元看護師の方からでした。
その方も、送られてきた看護学生さんの感想文のコピーを読んでいるところだそうです。"まだ全部読み終えていないけれど、看護学生さんの感想文を読んだ私の気持ちをすぐにあなたに伝えたくて電話した。"と、おっしゃってくださいました。"自分には感じ取ることができなかったあなたの真意をこの子たちは理解しているのだと感じた。”という内容の言葉を伝えてくださいました。その言葉に、ああ・・・私の発表は無駄ではなかったんだ、という思いがこみあげてきて、また涙、涙、涙です。
期せずして、私たちは同じ時間に同じ感想文を読んで、同じ思いをもったのです。"若いみずみずしい感性はスゴイ!"と。 こういう人たちが将来看護・介護の現場を担ってくださるのかと思うと、うれしくて頼もしくて救われたような気持ちになりました。
今回頂いた看護学生さんの感想文は、前回の発表の時の感想文とは比較にならないほどの重みを持って私に迫ってきました。"私の生きてきた意味がここにある"と思えるほどの、私の宝物となりました。
今週の土曜日に、教会のあるグループで発表した後、
ボチボチ文字化してみようと思っています。
前宣伝ばかりで、許してくださいね。(^-^)